滋賀県立大学
工学部材料学科
工学研究科材料科学専攻 

伊田翔平講師が江野科学振興財団賞を授与されました。

公益財団法人江野科学振興財団「第35回(2023年度)研究助成」に、伊田翔平講師が採択され、採択6件のうち選考委員会の評価が最も高い優れた研究(対象1件)として助成金とあわせて江野科学振興財団賞を授与されました。この研究助成は、ゴム・高分子及びこれと関連する分野の研究について、化学、物理、機械、電気等の学問領域と接する学術的研究に対し研究費助成を行い、我が国学術の向上発展に寄与しようとするものです。

■課題名:均一分散したゴム状ナノドメイン構造の機能により湿潤環境でも高い強度を保つゲル材料の創出
■概要:網目状の高分子の内部に多量の水を保持した高分子ヒドロゲルは、医用材料やライフサイエンス分野をはじめ、さまざまな応用が期待される材料です。一方、構成成分の大半が水であるため、一般に強度が低く、特に使用環境として想定される水中をはじめとする湿潤環境下では水を吸い込んでさらに弱くなります。本研究では、ゲルの材料としての汎用性および信頼性を向上させるため、合成技術を駆使して内部のナノ構造に精密にゴム成分を組み込むことで、湿潤環境下における高強度化の実現を目指します。


材料化学科4回生の世古口太貴さんが、プラスチック成形加工学会関西支部「2023年度若手セミナー」において、優秀発表賞を受賞しました。

12月19日に京都工芸繊維大学で開催されたプラスチック成形加工学会関西支部「2023年度若手セミナー」において、本学工学部材料化学科4回生の世古口太貴さんが優秀発表賞を受賞しました。この賞は、プラスチック成形加工学会関西支部が毎年開催している「若手セミナー」におけるポスターセッションにおいて主として博士前期課程1回生以下を対象として贈られるもので、今年度は26件の発表から2件が優秀ポスター賞に選出され、その中の1件として世古口さんの発表が選ばれました。世古口さんには表彰状と記念のトロフィーが贈呈されました。

■題目:結晶性成分を含む熱可塑性エラストマーの力学物性発現機構
■発表者:世古口太貴、竹下宏樹、木田拓充、徳満勝久、会田昭二郎(株式会社ブリヂストン)
■概要:近年、自動車用タイヤを始めとするゴム材料においても、リサイクル性が求められるようになり、長らく使用されてきた加硫とカーボンブラック等による補強ゴムに代替可能な新規ゴム材料が求められています。本研究では、合成ゴムの成分とプラスチックの成分を巧みに組み合わせることにより、従来のゴム材料の力学的物性を凌駕する性質を獲得することに成功した新しいゴム材料を対象としました。各種力学試験、小角・広角X線散乱法、ラマン分光法等を相補的に組み合わせることにより、その優れた力学物性をもたらす起源の一端を分子構造と高次構造から解き明かしました。本研究の成果は、リサイクル可能な新しいゴム材料の材料設計の指針として役立つことが期待されます。


博士前期課程2回生の田中萌さんが、第9回材料WEEK材料シンポジウム「若手学生研究発表会」において「優秀発表賞」を受賞しました。


博士前期課程2回生の田中萌さん(指導教員:秋山毅准教授)が、2023年10月10日~11日に開催された日本材料学会主催の第9回材料WEEK材料シンポジウム「若手学生研究発表会」にて、「優秀発表賞」を受賞しました。この賞は、上記シンポジウムでの83件の若手学生研究発表の中から選出された8件の発表に贈られるもので、受賞者の田中さんには表彰状が贈られました。

■題目:水溶性フラーレン重合体の作製および有機薄膜太陽電池への応用
■発表者:田中萌、秋山毅、奥健夫
■概要:フラーレンC60とエチレンジアミンからなる付加体は、n型半導体として機能し、有機薄膜太陽電池の部材として適用可能です。今回発表した研究では、フラーレンC60と環状オリゴ糖であるγ-シクロデキストリンからなる水溶性錯体に、エチレンジアミンを添加するとn型半導体として機能する水溶性付加体が得られることを示しました。あわせて、この付加体の生成機構や構造について系統的に検討し、論じました。
受賞の詳細はこちらを御覧ください。


竹下宏樹 准教授が、令和5年度関西繊維科学賞を受賞しました。

有機複合材料分野の竹下宏樹 准教授が、令和5年度関西繊維科学賞を受賞しました。この賞は、繊維及びその周辺領域に関連する科学・技術に関する優れた業績をあげ、その進歩発展に大きく寄与したと認められる研究者個人1名に与えられる賞です。1月29日に京都工芸繊維大学で開催された第38回関西繊維科学講座において、授賞式と受賞講演が行われました。

■題 目:結晶性成分を含む高分子ブレンドにおける相構造形成
■概 要:高分子材料を利用する際においては、複数種類の高分子が目的に応じて組み合わされて使われることが一般的です。複数種類の高分子をブレンドしたときに現れる物性は、それぞれの高分子性質の単純な足し算で決まるわけではなく、材料がどのような相構造を形成するかに大きく左右されます。さらに、ブレンドする高分子の中に結晶化する成分が含まれる場合には、状況は更に複雑となるため、相構造形成を支配する様々な要素を切り分けて理解する必要があります。本受賞研究では、結晶性成分のみからなる二成分高分子ブレンドを対象とし、各成分が時間差をもって結晶化することにより形成される相構造の特徴と形成メカニズムを明らかにすることに成功しました。


博士前期課程の太田鈴菜さんが、第35回高分子加工技術研究会において学生優秀発表賞を受賞しました。

11月28〜29日に山形市で開催されたプラスチック成形加工学会第31回秋季大会「成形加工シンポジア'23」において、本学大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程の太田鈴菜さんと西山亜希さんの発表が「優秀ポスター賞」を受賞しました。
この賞は、プラスチック成形加工学会が年に2回開催する全国大会のひとつである「成形加工シンポジア」のポスターセッションにおいて、優れた発表を行った若手研究者に送られるものです。今年度は、120件の発表から12件が優秀ポスター賞に選出され、その中の2件として太田さんと西山さんの発表が選ばれました。学会初日にホテルメトロポリタン山形で開催された表彰式において、表彰状と記念の盾が贈呈されました。

■題目:ケミカルリサイクルを企図したバイオベースポリマーの結晶化における構造形成
■発表者:西山亜希、竹下宏樹、木田拓充、徳満勝久、野村琴広(東京都立大学)
■概要:近年、バイオベースポリマーの開発が盛んです。本研究では、植物由来原料のみから合成され、使用後はモノマー単位に変換・再利用(ケミカルリサイクル)が可能となるよう分子設計されたポリマーを新たに開発し、その結晶化挙動と力学物性について検討しました。その結果、分子内の植物由来分子ならではの構造が、結晶化挙動と結晶構造・結晶高次構造に重要な役割を果たしていることを見出しました。
■題目:感温性高分子マイクロゲルのコロイド結晶化における転移挙動
■発表者:太田鈴菜、竹下宏樹、木田拓充、徳満勝久
■概要:固体コロイド粒子が分散液中で配列するコロイド結晶化については古くから多くの研究があります。しかし、粒子に働く重力の影響や粒子・溶媒間の屈折率差等の理由により検討が困難で、未解明な部分も数多く残されています。本発表では、温度により大きさが変化する高分子マイクロゲルを用いてコロイド結晶化の転移挙動を検討しました。その結果、結晶化時の粒子体積分率によって形成される結晶形が異なること、条件によっては結晶化後に結晶転移が起こることなど、固体コロイド系では未解明であったことを明らかにしました。


博士前期課程の太田鈴菜さんが、第35回高分子加工技術研究会において学生優秀発表賞を受賞しました。

10月26日〜27日に名古屋市工業研究所(名古屋)にて開催された第35回高分子加工技術研究会(日本レオロジー学会)において、大学院博士前期課程の太田鈴菜さんの発表が「学生優秀発表賞」に選ばれました。本賞は、学生による口頭発表の中で優秀な発表に贈られるもので、今回は14名の対象者の中から2名の発表が選出され、その内の1名に太田さんが選ばれました。太田さんには、賞状と表彰楯が授与されました。

■題目:感温性高分子マイクロゲルのコロイド結晶化過程における転移挙動の解明
■発表者:太田鈴菜、竹下宏樹、木田拓充、徳満勝久
■概要:コロイド結晶化については、主に固体分散系において様々な観点から実験・検討が行われていますが、未解明な点も多くあります。本発表では粒径の揃った感温性高分子マイクロゲルを用いてコロイド結晶化の転移挙動について検討を行いました。その結果、温度すなわち結晶化時の粒子体積分率によって形成される結晶形が異なることが分かりました。さらに、粒子の拡散速度等によっては結晶後に結晶転移が起こることも分かりました。


木田拓充講師の研究課題がJSTの「さきがけ」に採択されました

JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)が募集する研究開発プログラムである「戦略的創造研究推進事業」『さきがけ』に、工学部ガラス工学研究センター(材料化学科兼務)木田拓充講師の研究課題『プラスチックの不均一分解の可視化技術開発と分解メカニズムの解明』が採択されました!
「戦略的創造研究推進事業」は、国が定める戦略的な目標等の達成に向けた革新的技術シーズの創出を目指す研究開発プログラムであり、そのメニューの一つである『さきがけ』は、我が国が直面する重要な課題の克服に向けて、独創的・挑戦的かつ国際的に高水準の発展が見込まれる先駆的な目的基礎研究を推進し、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションの源泉となる、新たな科学知識に基づく創造的な革新的技術のシーズ(新技術シーズ)を世界に先駆けて創出することを目的とされています。
そのために、研究総括が定めた研究領域運営方針の下、研究総括が選んだ若手研究者が、研究領域内および研究領域間で異分野の研究者ネットワークを形成しながら、若手ならではのチャレンジングな個人型研究を推進するものであり、さまざまな研究推進サポートを受けながら研究成果の最大化および研究者としての成長が大いに期待される「若手研究者の登竜門」で、採択されることが非常に難しい「狭き門」と言われています。

■研究課題名:プラスチックの不均一分解の可視化技術開発と分解メカニズムの解明
■研究者:木田拓充講師(工学部ガラス工学研究センター(材料化学科兼務))
■概要:プラスチックは今日、我々の日常生活に欠かすことのできない重要な材料となっています。しかし、近年では使用に伴う「劣化」が進行することで、プラスチック製品が突然破壊することや徐々にマイクロプラスチックとして環境に流れ出てしまうことが問題点として指摘されてきました。そのため、プラスチックの劣化メカニズムについて世界中で研究が行われています。しかし、プラスチックは内部にnmスケールからmmスケールまでの幅広いスケールにわたる複雑な構造を有しており、劣化メカニズムを理解することが非常に困難でした。本研究では、我々が有する「精密合成」技術と「レオ・オプティクス」技術を組み合わせることにより、プラスチックの分解挙動をマルチスケールで評価を行い、複雑な劣化のメカニズムを解明することに挑戦します。


博士前期課程1回生の谷口真梧さんが、日本セラミックス協会 第36回秋季シンポジウムで優秀講演奨励賞を受賞しました。

博士前期課程1回生の谷口真梧さん(セラミックス材料分野)が、日本セラミックス協会 第36回秋季シンポジウムで優秀講演奨励賞を受賞しました。本表彰は、このシンポジウム(2023年9月6−8日、京都工芸繊維大学、ハイブリッド開催)のセッション「超秩序構造科学が創造する物性科学」において行われた若手研究者・学生の口頭発表の中で、優れた発表を行った発表者に対して贈られるもので、15名の対象者の中から2名に授与されました。

■題目: ホウケイ酸塩ガラスの異方性の発現と網目構造の変化
■発表者: 谷口真梧1、山田明寛1、柴田大輔2、松岡純1 (1 滋賀県立大学、2 立命館大学SRセンター)
■概要:ガラス材料は、一般的に硬さや屈折率などに方向性をもたない「等方性」材料として広く利用されています。しかしながら、ある特定の分子構造をもつガラスに力を加えて変形させると、その構造が規則的に再配列し、性質に方向性をもつ「異方性ガラス」となることがあります。ホウケイ酸塩ガラス*中には、ホウ素イオンが三つの酸素イオンに囲まれた三角形型の構造(3配位ホウ素)が部分的に存在し、それらが不規則に繋がることで多数の分子群を形成しています。これらの分子は加わる力に応じて再配列を起こし、異方性ガラスとなる可能性があります。本研究では、約4万気圧、最高600℃の高温高圧条件で引張りの力をホウケイ酸塩ガラスに加えることで、異方性ガラスの合成に成功しました。さらに、強力なX線を用いて分子構造の配列を調べたところ、3配位ホウ素が引張の力の方向へ配列していることを明らかにしました。
現在は、より大きな変形をガラスに与えることでさらに大きな異方性をもつガラスの合成に挑戦しています。
* ホウ酸(B2O3)とケイ酸(SiO2)を主成分とする特殊ガラス。ディスプレイ用の板ガラスや医薬品の容器用など幅広く利用されています。


ガラス工学研究センター 西脇瑞紀 講師が、日本セラミックス協会 第17回関西支部学術講演会で学術講演奨励賞を受賞しました。

ガラス工学研究センター 西脇瑞紀 講師(セラミックス材料分野)が、日本セラミックス協会 第17回関西支部学術講演会で学術講演奨励賞を受賞しました。本表彰は、このシンポジウム(2023年7月14日、近畿大学 東大阪キャンパス)の一般講演中で、優れた発表を行った発表者に対して贈られるものです。

■題目:非定常核形成の時間発展を簡単に推定できる差分方程式の発見
■発表者:西脇瑞紀、重富尚太
■概要:ガラス製品の製造プロセスにおいて、ガラスの中に結晶が発生することがあります。それらはガラスの透明性や耐久性などの機能に大きな影響力を持つため、自由に制御することを目指して昔から室内実験を通して調べられてきました。本研究では、結晶の核*が生まれる勢い (核形成速度) を表現する数式が楕円テータ関数という特殊な関数でも表現できることに注目し、その数学的な性質を利用して計算を行いました。その結果、異なる時刻における核形成速度どうしを結びつける方程式を発見しました。この方程式を使えば、核形成速度がある時間帯でしか測定できないような状況でも、前後の時間変化を正確に予測することができます。すなわち、室内実験にかかる時間や労力等のコストの削減に役立つことが期待されます。
*核:エネルギー的に安定な新しい相に属する分子のクラスター。


博士前期課程の林秀哉さんが第72回高分子学会年次大会優秀ポスター賞を受賞しました

大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程1回生の林秀哉さんが、第72回高分子学会年次大会で優秀ポスター賞を受賞しました。高分子学会年次大会は公益社団法人高分子学会が主催する三大行事のひとつであり、今回は5月24日〜26日にGメッセ群馬にて開催されました。今回、約800件のポスター発表の中から、予稿原稿の内容による第一次審査、当日の発表をもとにした第二次審査を経て、59件の優秀ポスター賞が選出されました。
受賞者一覧(PDF)

■題目:多分岐星型ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)の分岐数およびコア構造設計に基づく凝集制御
■発表者:林秀哉、伊田翔平、金岡鐘局
■概要:温度変化に応答して水への溶解性を大きく変化させる高分子材料は、センシング材料や薬物送達材料など、バイオマテリアルの分野を中心にさまざまな応用が期待されています。ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)は代表的な温度応答性ポリマーとして知られており、冷水には溶けることができますが、温水になると不溶化して一気に凝集します。本研究では、中央の核に数十本のポリマーが結合した「多分岐星型ポリマー」とすることにより、その分岐数に応じて温水中で形成する凝集体のサイズが制御可能であることを新たに見出しました。この凝集挙動の制御により、温度応答性ポリマーの応用可能性が拡がるものと期待されます。


博士前期課程の西山亜希さんがプラスチック成形加工学会第34回年次大会において「優秀学生ポスター賞」を受賞しました

6月21日〜22日にタワーホール船堀(東京)にて開催されたプラスチック成形加工学会第34回年次大会において、大学院博士前期課程の西山亜希さんの発表が「優秀学生ポスター賞」を受賞しました。
本賞は、1日目午後に行われたポスター発表の中で優秀な発表に贈られるもので、今回は47件のポスター発表から5件が選出され、その中の1件に本発表が選ばれました。同日夜に開催された懇親会において西山さんには表彰楯が授与されました。

■題 目:ケミカルリサイクルを企図したバイオベースポリエステルの結晶化と高次構造
■発表者:西山亜希、竹下宏樹、徳満勝久、野村琴広(東京都立大学)
■概 要:石油系高分子材料の代替材料としてバイオベースポリマーの開発が盛んです。特に、植物由来原料のみから合成され、使用後はモノマー単位に変換・再利用(ケミカルリサイクル)が可能となるよう分子設計されたポリマーが近年注目を集めています。本研究では、ケミカルリサイクルを企図した新規なバイオベースポリエステルとして、構造の一部が異なるいくつかのポリマーの結晶化挙動および高次構造と分子構造の相関について検討しました。その結果、分子間相互作用の強い結合中間部位が結晶化前の構造形成に重要な役割を果たしており、それが結晶化挙動と結晶化後の高次構造にも強く影響を与えることが明らかとなりました。


徳満勝久教授、竹下宏樹准教授がプラスチック成形加工学会の論文賞を受賞し、第34回年次大会・総会において表彰されました

6月21日〜22日にタワーホール船堀(東京)にて開催されたプラスチック成形加工学会第34回年次大会「成形加工'23」において、徳満勝久教授と竹下宏樹准教授がプラスチック成形加工学会論文賞を受賞しました。なお、当該論文は筆頭著者・大阪産業技術研究所の垰幸作氏が本学先端工学専攻在学中に投稿した論文であり、(地独)大阪産業技術研究所の技術者3名を含む6名が受賞しました。
本賞は、毎年度プラスチック成形加工学会誌に掲載された論文の中で選考委員会にて1件選ばれる賞であり、6月21日に開催された学会総会後の賞表彰式にて授与されました。

■題 目:レーザーラマン分光法を用いたポリスチレン射出成形品の分子配向解析
■発表者: 垰 幸作、山田浩二、東 青史、籠 恵太郎、竹下宏樹、徳満勝久(大阪産業技術研究所、滋賀県立大学)
■概 要: 寸法精度が高く、かつ短時間で大量に製造できるため、樹脂成形品の多くに射出成形が用いられます。その製造プロセスから、射出成形品の内部は複雑な分子配向を示し、この分子配向は成形品の物性と密接に関係するため、配向度や配向方向の分布といった詳細な分子配向状態の解析が望まれます。本論文では、分子振動軸に対する偏光子及び検光子の角度がラマン散乱光に及ぼす影響を明らかにすることで、ポリスチレン射出成形品において、従来報告されていた配向度の情報に加え、配向方向についてもミクロンオーダーで解析しました。また、成形品における残留分子配向が、動的粘弾性や加熱収縮の挙動に影響を及ぼすことを見出しました。本論文の成果は、樹脂部品の製造工程における品質管理や、高機能樹脂部品の開発現場などでの活用が期待されます。


大学院博士前期課程の奥村吏来さんが、The 9th International Symposium on Organic and Inorganic Electronic Materials and Related Nanotechnologiesにおいて「Student Award」を受賞しました。

2023年6⽉5-8⽇の4日間、金沢で開催された国際シンポジウム「The 9th International Symposium on Organic and Inorganic Electronic Materials and Related Nanotechnologies (EM-NANO 2023)」において、工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の奥村吏来さんが「Student Award」を受賞し、賞状と記念品が授与されました。この賞は、学生によるポスター発表150件の中から選出された4件の発表に贈られた賞で、受賞者の奥村さんには表彰状、記念品等が贈呈されました。

■題 目:Effects of copper substitution on electronic structures and photoelectric conversion properties in methylammonium-based perovskite solar cells
■発表者: Riku Okumura, Takeo Oku, Atsushi Suzuki, Sakiko Fukunishi, Tomoharu Tachikawa, and Tomoya Hasegawa
■概 要: ペロブスカイト結晶を用いた太陽電池は高い変換効率を示すため、世界的に注目されています。本研究は、第一原理バンド構造計算から、Cu・有機カチオン添加による短絡電流密度・耐久性向上を予測し、実験でデバイス特性を実証したもので、ペロブスカイト太陽電池の電子状態制御により、長期安定性と光電変換効率のさらなる向上可能性を示唆するものです。本研究は、大阪ガスケミカル株式会社フロンティアマテリアル研究所との共同研究によるものです。


令和5年春、滋賀県立大学工学部材料科学科は名称を「材料化学科」に変更します。

2023年4月1日より、滋賀県立大学 工学部 材料科学科の学科名を『材料化学科』へ変更いたします。新名称の対象年次は1年次から4年次です。名称変更後の新しい『材料化学科』は、環境と調和した持続可能な社会と⼈類の幸福に貢献することを⼤きな⽬標とし、「原⼦・分⼦配列に基づく化学」を基礎として、⾦属からセラミックス、半導体から⾼分⼦、有機材料から⽣化学材料という幅広い材料を融合させた新材料の創成を⽬指す学科として、新たなステージへ踏み出します。

*学科名変更に関する公式インフォメーション
*滋賀県立大学材料科学科 材料化学科へ名称変更(2023春)
動画1動画2