研究内容

 

エネルギー環境材料から人類・自然環境・社会への貢献へ

 

2007年から「エネルギー環境材料」研究分野が発足いたしました.

研究全体のキーワードは,「光・量子情報・エネルギー」.

原子配列が調和した機能物質の設計・合成・評価・応用を通じて,人類・自然環境・社会へ貢献していきます.

 

 

具体的には,新規太陽電池材料の研究開発,燃料電池などの高性能複合膜の開発とその電気特性,気泡ナノバブルの作製とその活性についての研究,TiO2光触媒材料の研究,量子ドットによる新規光・スピンデバイス材料の研究開発,固体内核融合の量子論的研究、高分解能電子顕微鏡による原子配列に関する研究などを行なっています.3人のスタッフが目標に向かいそれぞれの得意分野を生かしながら,連携して研究を進めています.

 

環境調和型第三世代太陽電池の研究開発

本研究の目的は,従来のシリコン系太陽電池に代わる,安価で環境にも配慮した環境調和型第三世代太陽電池(有機・量子ドット型太陽電池)や新規無機化合物系太陽電池の研究開発を行なうことです.高効率発電を目指すとともに,その発電機構・電気伝導機構を量子物理学的手法を用いて明らかにしていきます.具体的には,有機系半導体・フラーレン・ナノチューブや量子ドットなどの新しいナノ構造をもちいて,高効率・低価格・自然環境にやさしい新しいタイプの太陽電池の研究開発を目指しています.また,電子顕微鏡・結晶学及び第一原理分子軌道計算により,ナノ構造物質の原子配列・電子状態・磁気構造を解明し,新規材料開発に貢献しています.

 

 

セリア系ペレット上へのCVI法によるYSZ薄膜および中空繊維状YSZ薄膜の作製とその発電特性

固体酸化物型燃料電池の電解質として高温で高い酸化物イオン導電性を示すYSZ(イットリア安定化ジルコニア)がよく使われています.このようなデバイスは薄膜かつ緻密であることが要求されます.これには,CVD-EVD (Chemical Vapor Deposition Electrochemical Vapor Deposition)プロセスが有効です.さらにこのYSZ薄膜には比表面積が大きいことが要求されています.このため,種々の方法によって形状を制御した薄膜の作成とその物性を研究しています.この薄膜の生成にはCVD法よりも本研究室で開発したCVI(Chemical Vapor Infiltration)法の方が大きな薄膜成長速度を示すことや,その成長機構を明らかにしてきました.さらに,600℃での酸化物イオン導電性を向上させるためにSDC (Samaria Doped Ceria)基板上にYSZ薄膜をCVI法で作製し,この複合固体電解質薄膜の発電特性を測定しています.さらに他の複合電解質薄膜の研究・開発を行う予定です.

 

 

長寿命の固体高分子形燃料電池の開発

燃料電池の長寿命化には、その劣化挙動を明らかにすることが重要です。このため、反応の主な場である三相界面に着目して開発を行っています。(固体高分子型燃料電池の三相界面の概念図)↑上右図

 

水電解におけるカソード電極近傍における水素の過飽和現象の研究

水の電気分解でカソード室から得られる水(いわゆるアルカリイオン水)は,飲用に用いられ健康によいことが基礎的な治験から明らかにされています.この有効成分は,カソード室水中に含まれる溶存水素であることが明らかにされてきました.カソード電極表面の水素の過飽和度,電解水中の過飽和水素の存在状態とその挙動から,過飽和に水素が含まれる溶液中には,溶存水素とコロイド状の水素のナノバブルおよび水素気泡に分類されることを明らかにしました.さらに,大型放射光施設Spring-8にてX線イメージングプレートを用いて水素気泡の成長と減衰の機構を明らかにしています.同時にポテンシャルステップクロノアンペロメトリーによってカソード近傍の水素の微小気体および溶存水素の割合とその比率の決定因子を明らかにしています.さらに,ナノバブルの安定化機構やナノバブルによる洗浄機構を研究中です.なお,この研究は企業との共同研究中で,成果はアルカリイオン整水器やアルカリイオン水の生理活性の研究に大きく寄与しています.(電極上の水素ナノバブルの概念図)

 

 

TiO2系光触媒材料

光触媒による揮発性有機化合物の分解。滋賀県甲賀市信楽町で伝統的に行われている焼き物(焼成)技術を用いて得られたセラミックスフィルターの新たな用途展開の可能性を広げるために、このフィルターの特徴を生かして空間比率の大きな光触媒の作製法と光分解性能との関連を研究しています。↑上右図

 

固体型色素増感太陽電池の研究開発

色素増感型太陽電池の研究開発を行なっています.色素増感型太陽電池は他の有機系太陽電池より発電効率は高いのですが,電解質に液体を含むため,固体化の技術が必要になってきます.本研究室では,ナノチューブや様々な色素を選択しながら,固体化する材料の開発を目指しています.さらに色素増感型太陽電池はシリコンや他の有機系太陽電池とは発電のしくみが異なるので,光伝導機構を明らかにし,その発電効率の向上を試みています.

 

新規スピンエレクトロニクス材料の研究開発

新規スピンクロスオーバー錯体を量子ドットとして合成し,光学,磁性など組み合わせた「多重機能性」電子デバイスの開発と,量子効果を利用した単一光子・電子素子の応用を目指しています.スピンクロスオーバー錯体の量子ドット内のスピンや励起子の数を制御することで、光誘起磁気記憶デバイスへの応用を目指しています.将来的には,量子コンピューターなど量子情報技術への応用を目指しています.

 

固体内核融合の量子論的研究

太陽が輝いている原理である核融合を、極性結晶や超音波バブルを用いて制御し利用する方法を探索します。いずれの方法も2002年、2005年にScienceNatureに報告されており、熱により強力な電場を生み出すLiTaO3極性結晶や、重水素を導入したアセトンに超音波をかけ、環境に優しくほぼ無限にある重水素燃料にD-D核融合を起こさせます。これらの固体内核融合反応を量子論的観点から調査し、核融合条件の探索を行ないます。